産業医の選任義務は「会社全体」ではなく事業場ごとに判断します
産業医の選任義務は、原則として会社全体の従業員数ではなく、工場、営業所、店舗、本社などの事業場ごとに判断します。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任する必要があります。産業医を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、その後、遅滞なく所轄の労働基準監督署長へ報告します。産業医選任報告は、2025年1月から電子申請が義務化されています。ただし、電子申請が困難な事情がある場合は当分の間、書面による報告も可能とされています。
例えば、会社全体では100人でも、本社40人、工場35人、営業所25人に分かれている場合は、それぞれの勤務実態や場所の独立性を踏まえ、どこまでを一つの事業場として扱うか確認が必要です。単純に法人全体の人数だけで判断しないことが大切です。
50人未満の事業場には原則として産業医の選任義務はありませんが、健康診断後の就業判定、長時間労働、メンタルヘルス、休職・復職など、医学的な判断が必要になる場面はあります。必要な業務だけを外部の医師や産業医へ依頼する方法もあります。
山口県で産業医を探す主な方法
産業医を探す方法は、大きく分けて次の3つです。
1. 地域の医師会や関係機関へ相談する
地域の医師会などへ相談し、産業医活動が可能な医師の情報を確認する方法です。地域とのつながりを得やすい一方、希望する訪問頻度や業務範囲に対応できる医師がすぐに見つかるとは限りません。
2. 産業医紹介会社を利用する
複数の候補者を紹介してもらいやすく、広い地域や複数事業場をまとめて探す場合に便利です。紹介手数料、運営会社の管理費、契約後の窓口、医師が交代する場合の対応などを確認します。
3. 産業医または産業保健事業者と直接契約する
実際に担当する医師と事前に相談し、業務範囲や連絡方法を直接確認できます。契約後も同じ医師が継続して担当するか、休診・学会・急用時の対応、遠方訪問の条件などを確認しておくと安心です。
探し方に絶対的な正解があるわけではありません。複数事業場を全国一括で管理したいのか、地域の医師に継続して相談したいのか、日常の人事労務相談まで依頼したいのかによって適した方法は変わります。
契約前に確認したい8つの項目
見積りを依頼する前に、次の情報を整理しておくと、必要な業務と費用を比較しやすくなります。
- 事業場ごとの従業員数と所在地
- 業種、勤務形態、夜勤・交替勤務の有無
- 有害業務や危険作業の有無
- 衛生委員会の開催状況
- 希望する訪問頻度と1回の活動時間
- 健康診断後の就業判定、面談、休職・復職案件の想定件数
- 担当者が日常的に相談したい内容と連絡方法
- 複数事業場、追加訪問、交通費などの取扱い
現在の産業保健体制が十分に整理できていなくても問題ありません。「健診結果の処理が進んでいない」「休職者が出たときの流れが決まっていない」など、困っていることから必要な業務を整理できます。
産業医契約に含めたい主な業務
産業医の業務は、事業場への訪問だけではありません。一般的には、次のような業務を組み合わせます。
- 職場巡視と改善事項の助言
- 衛生委員会への参加、医学的助言
- 健康診断結果に基づく医師の意見聴取・就業判定
- 長時間労働者、高ストレス者への医師面談
- 健康相談、治療と仕事の両立支援
- 休職・復職時の面談と就業上の意見
- 人事労務担当者からの相談
- 必要な意見書、面談記録の作成
- 健康講話、管理職研修
- ストレスチェック実施体制への助言
見積書では、定期訪問の時間だけでなく、訪問外のメール相談、オンライン面談、意見書作成、日程の優先調整などが料金に含まれるか確認します。
訪問頻度と職場巡視の考え方
産業医の職場巡視は原則として毎月1回以上です。ただし、事業者から産業医へ毎月必要な情報が提供され、事業者の同意を得ているなど、法令上の条件を満たす場合は、少なくとも2か月に1回とすることができます。
ここで注意したいのは、職場巡視を2か月に1回とできる場合でも、産業医活動全体を2か月に1回にすればよいという意味ではないことです。衛生委員会、健診後措置、面談、情報確認など、事業場の状況に応じた活動を継続する必要があります。
初めて産業医を選任する事業場では、まず月1回の訪問を基本として、現場の課題、面談件数、衛生委員会の運用が安定した段階で適切な頻度を検討する方法が現実的です。
産業医契約の料金は何で決まるのか
産業医契約の料金は、従業員数だけで決まるものではありません。主に次の条件で変わります。
- 事業場の所在地と移動時間
- 従業員数、事業場数
- 業種、有害業務、夜勤の有無
- 訪問頻度と1回の活動時間
- 健診後の就業判定件数
- 長時間労働、休職・復職などの面談件数
- メール・オンライン相談の頻度
- 意見書、研修、ストレスチェック等の追加業務
月額料金が低く見えても、面談、意見書、メール相談、交通費がすべて別料金の場合は、年間の総額が分かりにくくなることがあります。月額料金とあわせて、契約に含まれる業務、追加費用が発生する条件、年間の見込み額を確認してください。
契約から産業医活動開始までの流れ
現状の確認
事業場の人数、業種、所在地、現在の健康管理体制、困っていることを確認します。
支援内容と見積りの提案
訪問頻度、活動時間、契約内の業務、別料金となる業務を整理します。
契約書の確認
守秘義務、個人情報の取扱い、活動時間、交通費、解約条件、緊急時の対応などを確認します。
社内体制の準備
衛生管理者、人事労務担当者、健康情報を取り扱う担当者、産業医への相談窓口を整理します。
選任報告
産業医を選任し、所轄の労働基準監督署長へ必要な報告を行います。
初回訪問と年間計画の作成
職場巡視、衛生委員会、健診後措置、面談、年間の健康テーマなど、優先順位を決めて活動を開始します。
山口労働衛生合同会社の対応地域と支援方針
山口労働衛生合同会社では、宇部市・山陽小野田市・山口市を中心に、山口県内の事業場へ訪問しています。所在地、訪問頻度、業務内容によって対応可否と交通費を確認し、必要に応じてオンライン面談や担当者とのオンライン相談を組み合わせます。
初回相談から契約後の活動まで、代表社員・産業医が原則として一貫して対応します。法定業務を行うだけでなく、企業の規模、業種、担当者の負担を踏まえ、実際に続けられる産業保健体制を一緒に整理します。
まずは現在の状況を整理することから始められます
産業医へ依頼したい業務が決まっていなくても構いません。事業場の人数、業種、所在地、現在困っていることをお聞きし、選任の必要性、必要な業務、費用の目安を整理します。
