2028年4月1日から50人未満の事業場も対象になります

2025年の労働安全衛生法改正により、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されました。施行日は2028年4月1日です。

ストレスチェックは、精神疾患を見つけるための検査ではありません。労働者自身にストレスへの気づきを促し、高ストレス者へ医師面接の機会を提供するとともに、集団分析を通じて職場環境の改善につなげ、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことが主な目的です。

1実施方針の決定2社内ルールと体制の整備3ストレスチェック4本人への結果通知5高ストレス者への面接案内6医師面接と事後措置7集団分析・職場環境改善

対象となる労働者を確認します

ストレスチェックの対象となる「常時使用する労働者」は、一般定期健康診断の対象者とおおむね同じ考え方です。契約の名称だけで判断せず、雇用期間と所定労働時間を確認します。

原則として、次の両方を満たす労働者が対象です。

  • 期間の定めのない契約で使用される者、または1年以上使用される予定・実績がある者
  • 1週間の労働時間が、同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上である者

通常の労働者の所定労働時間のおおむね2分の1以上で、雇用期間の要件を満たす労働者についても、実施することが望ましいとされています。派遣労働者に対する実施義務は原則として派遣元にあります。

なお、事業者には実施義務がありますが、労働者本人に受検義務が課されているわけではありません。受検率を高めるには、結果が本人の同意なく会社へ渡らないことや、不利益な取扱いを行わないことを事前に丁寧に周知する必要があります。

まず整理したい3つの役割

実施者

医師、保健師など、法令上ストレスチェックの実施者になれる者です。調査票、評価方法、高ストレス者の選定、結果の取扱いなど、制度の医学的・専門的な部分を担います。

実施事務従事者

実施者の指示を受け、回答の回収、結果の出力、本人への通知、記録保存など、個人結果を扱う事務を行います。人事権を持つ者は、労働者の解雇、昇進、異動などに直接関与する場合、個人結果を扱う実施事務に従事できません。

社内担当者

日程調整、対象者名簿の準備、全体周知、委託先との連絡などを行います。個人結果に触れない範囲の運営業務と、機微な健康情報を扱う業務を分けて設計します。

小規模事業場では、一人の担当者へ業務が集中しやすいため、誰がどの情報まで見られるのかを文書で明確にしておくことが重要です。

企業が準備する7つのこと

1

実施方針を決める

実施目的、対象者、実施時期、受検方法、問い合わせ先を整理します。

2

労働者の意見を聴く

50人以上の事業場では衛生委員会等で調査審議します。50人未満でも、労働者の意見を聴き、安心して受検できる運用を検討します。

3

社内規程を作成する

結果通知、保存方法、医師面接の申出方法、個人情報、不利益取扱いの禁止などを定めます。

4

実施者と実施事務従事者を決める

外部委託する場合も、事業者側の窓口と役割分担は必要です。

5

紙・Webなどの受検方法を選ぶ

従業員数、PC・スマートフォンの利用環境、外国語対応、未受検者への案内方法などを確認します。

6

医師面接へつなぐ体制を作る

高ストレス者が安心して申し出られる窓口、面接医、日程調整、事業者への意見書の流れを決めます。

7

集団分析と職場改善の方法を決める

部署区分、集計人数、結果を検討する会議体、改善後の評価方法を決めます。

紙方式とWeb方式の比較

項目紙方式Web方式
導入PC環境がなくても実施しやすい初期設定と対象者登録が必要
回収・集計手作業が多くなりやすい自動集計しやすい
結果通知封入・配布時の誤送付に注意本人認証と通知方法を確認
未受検者管理名簿との突合が必要システムで確認しやすい
情報管理保管場所と廃棄方法が重要アクセス権、保存先、委託先の管理が重要

どちらが優れているというより、従業員の利用環境と事務負担に合う方法を選びます。Web方式でも、委託先のセキュリティ、再委託、契約終了後のデータ、障害時の対応を確認してください。

会社が見てよい情報・見てはいけない情報

個人のストレスチェック結果は、原則として本人へ直接通知されます。本人の同意なく、結果を事業者へ提供することはできません。

事業者が通常把握するのは、受検者数など制度運営に必要な情報、本人の申出に基づいて実施した医師面接後の就業上の意見、個人を特定できない集団分析結果などです。

本人が医師面接を申し出たことを理由とした不利益な取扱いや、受検しなかったことを理由とした不利益な取扱いは認められません。

高ストレス者の判定後から医師面接まで

高ストレス者に該当しただけで、本人の情報が会社へ自動的に伝わるわけではありません。本人へ結果と面接申出の案内を通知し、本人が事業者へ申し出た場合に医師面接を実施します。

医師面接では、勤務状況、疲労、睡眠、心身の状態、生活状況などを確認します。面接後、事業者は医師から就業上の措置に関する意見を聴き、必要に応じて労働時間の短縮、業務負担の調整、深夜業の制限などを検討します。

医師面接を申し出ない高ストレス者にも、外部相談窓口や産業医・保健師への健康相談など、利用しやすい相談先を案内することが望まれます。

集団分析では個人が特定されない設計が必要です

集団分析は、部署や職場単位のストレス要因を把握し、職場環境改善につなげる取組です。

10人未満の集団は個人が推測されやすいため、原則として、全員の同意がない場合はそのまま結果提供を受けない運用が必要です。複数部署を統合する、より大きな区分で集計する、個人が特定されない集計方法を用いるなどの工夫を行います。

2027年4月1日からは、集団分析を「特定の個人を識別することができない方法」で実施することが労働安全衛生規則上も明文化されます。これは従来のプライバシー保護の考え方を明確にするものであり、小規模事業場では特に慎重な区分設定が必要です。

50人未満の事業場の労基署報告

ストレスチェック実施結果の労働基準監督署への報告義務は、引き続き常時50人以上の労働者を使用する事業場が対象です。50人未満の事業場は、ストレスチェックの実施が義務化された後も、実施結果報告の対象外とされています。

ただし、「ストレスチェックを受ける対象者」と「事業場規模を判断する労働者数」は数え方が異なる場合があります。境界となる事業場では個別に確認してください。

2028年までの準備スケジュール例

  • 現在の健康管理体制を確認
  • 外部委託か自社運用かを検討
  • 予算と担当者を決める
  • 個人情報の取扱い方針を確認
  • 委託先、実施者、面接医を選定
  • 社内規程と説明資料を作成
  • 対象者名簿と部署区分を整備
  • 紙・Webなどの実施方法を決定
  • 従業員へ制度を周知
  • 問い合わせ窓口と医師面接の流れを確認
  • テスト運用または任意実施を検討
  • 2028年度の実施時期を確定
  • 年1回のストレスチェックを実施
  • 高ストレス者への面接案内
  • 集団分析と職場環境改善
  • 実施状況を評価し、翌年度の方法を見直す

外部委託先を選ぶチェックリスト

  • 実施者となる医師等が明確か
  • 高ストレス者の選定基準を説明できるか
  • 医師面接まで一貫して依頼できるか
  • 個人結果を誰が閲覧できるか
  • データの保存場所と保存期間は明確か
  • 再委託の有無と範囲は明確か
  • 10人未満の部署をどのように扱うか
  • 未受検者への連絡を誰が行うか
  • 集団分析と職場改善支援が含まれるか
  • 契約終了後のデータ返却・消去方法は明確か
  • 基本料金、1人単価、医師面接、集団分析の費用が明確か

山口県内の小規模事業場の準備を支援します

山口労働衛生合同会社では、実施者としての医師業務、高ストレス者への医師面接、社内体制づくり、集団分析後の助言など、必要な範囲を整理してご提案します。配信・回収・集計などの運営業務は、実施方法や人数に応じて内容と費用を明確にします。

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